画像再生(SAR, CT)など

SAR (Synthetic Aperture Radar)

合成開口レーダ
光やレーダの電波は「波」である。レーダのアンテナの幅を D, 使用する電波の波数を k とする。アンテナの一部 dx による 電場を dE とすると,
dE(θ) 〜 a exp[ikx sinθ] dx
である。x について、-D/2 から D/2 まで積分すると、
E(θ) 〜 a D sin[kD sin θ/2] / [kD sin θ/2]
になる。(フーリエ変換と比較)
レーダのビーム幅 θwは電波の波長λ= 2π/k を 用いて、
θw 〜 2λ/D
となる。つまり、アンテナが大きいほど鋭いビームを出すことができ、 解像度の高い画像を得ることができる。

人工衛星に搭載したレーダの場合、積載重量(payload)に制限があるので 大きなアンテナを載せることができない。D = 10 m, λ=20 cm とすると θw 〜 0.04 であり、高度 800 km から見下ろしている場合、 解像度は 30 km 程度となる。

そこでより高い解像度を得るために、人工衛星が移動しながら得た エコーから大きな D を合成する手法が用いられる。D を開口(aperture) と呼ぶので、「合成開口レーダ」と呼ぶ。合成には、レーダ反射波の 大きさだけでなく、位相も記録する必要がある。

アンテナビーム幅は2λ/Dであるので、距離(または衛星の高度)hから ターゲットが見える範囲は L〜2λh/D である。この長さが合成された レーダの開口となるので、解像度は 2λh/L 〜 D となる。 つまり、レーダからの距離によらず、アンテナの大きさ程度になる。 実際には小さなアンテナからは利得が得られないので、Dをいくらでも 小さくすればよいというわけではない。

SAR画像の例: 全体にざらざらした感じ ... スペックル。波長・偏波を変えると特長を 色で表すことができる。
干渉SAR: 地形・ 地盤変動などの観測

CT (Computed Tomography)

X線CTスキャナ(医療機器)
物体の投影:物体のある断面のX線吸収係数分布 f(x,y) 入射X線 Ii 物体通過後のX線強度Io
Io = Iiexp[-∫f(x,y)ds]
xy座標から角度θだけ回転したrs座標を考え、r軸に投影されたデータ p(r,θ)について考える。
p(r,θ) = ∫f(r cos θ - s sin θ, r sin θ + s cos θ) ds
    = ∬ f(x,y)δ(x cosθ+ y sin θ - r) dx dy
p(r,θ)から f(x,y) を求める。f(x,y)の2次元のフーリエ変換 F(μ,ν)を使う.
F(μ,ν) = ∬ f(x,y)exp[-i2π(μx+νy)]dxdy
μ=ρcosθ, ν=ρsinθの変数変換を行う。
F(ρcosθ, ρsinθ) = ∬f(x,y)exp[-i2πρ(x cosθ + y sinθ)]dxdy
    = ∫[∫ f(r cosθ-s sinθ, r sinθ + s cosθ)ds]exp(-i2πρr)dr
    = ∫p(r,θ)exp(-i2πρr)dr
θ方向の投影データp(r,θ)の r に関するフーリエ変換は、F(μ,ν)の θ方向での切断面となる。したがって、θを変えていくことで、F(μ,ν)の 全体が求まり、その二次元フーリエ逆変換をおこなえば、元の f(x,y)を 求めることができる。