情報倫理ということについて

世の中には「情報倫理」という言葉がある。例えば 日本情報倫理協会 というような団体があって、ネットの有害情報から子供たちを 守りましょうというようなことを言っている。

「有害情報」には「コンピュータウィルス」のようなパソコンに 害を及ぼすものから、「人種差別」「武器・爆弾の製造法」 といった反社会的とされる情報や「ポルノ」のように青少年に 悪影響が心配されるといったものまで多岐にわたっている。

ここで、ネットワークを利用する者として最低限押さえておかなくては ならないのは、他人を傷付けてはいけないということである。 例えば、自分が「ウィルス」に無頓着でネットからダウンロードした ゲームを人に勧めて、その人のパソコンを感染させたとすれば、 それはその人を傷付けたことになる。感染という点では、例えば AIDSでも同じことである。

大人年齢(18歳)になりたての諸君としては、ポルノの方に興味が あるかもしれない。こんなのは見るだけなら誰も傷つけない。 しかし、見ていることを横から見るだけでも傷つく人がいるかも しれない。いやがっているのにこれ見よがしにポルノ本を広げる のは、立派な セクハラである。

こっそり隠れて見るならいいのかな?

実はネットは公共空間である。 実際、WWW サーバに掲載されたものは世界中のどこからでも見える わけだし、ネットニュースでの議論も全世界へ伝わっていく。 パソコンだけなら、ゲームをやったり日記を書いたりできる、自分の心の 友達かもしれないが、ひとたびネットに繋がった瞬間からそれは 世界に向けて開かれた窓になる。

公共空間にもいろいろある。ショッピングを楽しむアーケードも そうだし、ゲームセンターもある、図書館もあればニューススタンドも ある。大学など学校もあれば、ストリップ劇場だって公共空間には 違いない。自分がどのような公共空間にいるのかについては 常に意識しておくべきである。

少なくとも大学は勉強(教育と研究)のための公共空間であり、 ストリップ劇場ではない。この意味で、大学のネットでポルノ鑑賞 はすべきでない。どうしても見たかったら、何でもOKという 商用プロバイダに金を払って見ればよい。 (大学の外で18歳以上の大人がやってかまわないことにまで、 大学は干渉しない)

ポルノは一例に過ぎない。教育と研究の場にふさわしくないことは 大学のネットでやるべきではない。それが情報倫理という ことである。

あとひとつ、大学生がよくやることに著作権の侵害というのが ある。これも、大学の外から見えなければよいという訳ではないので 注意。(本当は教官のほうがよくやる。授業の資料と称して放送された 番組のビデオを見せたり、教科書をコピーして配ったり。) 情報は中身が大事。外の見栄えばかり気にして、人の作った アイコンを無断借用したりしないように。たとえ「自由に使っていいよ」 と書いてあっても出典を明らかにしておくこと。 (でも、レポート書かせると、みんな写してくるもんなぁ。)

とにかく、暗い世界に閉じこもるのでなく、広い世界に目を向けて 世のため人のために働けるような人間になれるように、 ネットワークの世界での修行に心がけてほしい。


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